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愛玩動物看護師と動物福祉
2023年7月19日 掲載
目次:
動物の福祉を守るという、愛玩動物看護師の役割
言葉を話さぬ患者たちのニーズをくみ取る
動物福祉を守る実践における多岐にわたる愛玩動物看護師の役割
動物の代弁者となるために
動物の福祉を守るという、愛玩動物看護師の役割
愛玩動物看護師が晴れて国家資格になり今後の活躍が期待される中、これらの新たな有資格者の職域に関する検討がまだまだ不十分であると感じている。しかし一つだけ言えることは、仕事の対象である動物の福祉を守ることが大きな役割になるであろうということである。人間の看護師が患者に対して治療行為に加え様々なサポートを提供する立場にあることと同じように、愛玩動物看護師は患者である動物たちのケアを担う重要な役割を果たさなければならない。
愛玩動物看護師を教育するためのコアカリキュラムの中には、もちろん動物福祉論が入っている。しかし、5つの自由などの
動物福祉
の基本的概念を教えるだけでは、現場の看護師に十分な教育を施すことはできないのではないだろうか。看護の仕事には積極的に患者にかかわりその患者の生活の質(QOL)を支えることという重要な要素が含まれている。つまり、愛玩動物看護師は福祉の基本的な考え方をベースとして、患者である動物たちにどのようなかかわり方をするべきであるかについて考えなければならぬのである。
言葉を話さぬ患者たちのニーズをくみ取る
言語的コミュニケーションができる人間を相手にする場合には、相手が何を欲しているかを把握することが容易であると考えられる。また、人間の医療現場には心理の専門家や社会福祉士などもいるわけであり、言語的コミュニケーションに加え、相手の要望やニーズをより深く理解することができる。しかし、獣医療の現場においては獣医師に加え医療を支える専門職が看護師しかいない。そのために患者のニーズなどを把握し、患者の「気持ち」を理解しながらケアをする役割はすべて愛玩動物看護師にゆだねられることになる。それ故に、愛玩動物看護師には物言わぬ患者の「福祉の実践」の達人であることが求められてしまうわけである。動物が獣医科病院に入院している期間中、どのようにその動物の福祉を守ることができるか、そもそも入院中の動物のケアの中で福祉という概念をどのように活用するべきであるかなどを考えていかなければならないのである。人間の看護師と同じように、あるいはそれ以上に、医療的処置に加えて患者を支えるという部分に力を発揮していかなければならないということである。
動物福祉を守る実践における多岐にわたる愛玩動物看護師の役割
そのためには、実践につながる知識と意識が必要になってくる。この度当法人では、愛玩動物看護師がこのような動物福祉に沿った実践を展開する手助けとなるような電子資料(PDF)「
愛玩動物看護師のための動物福祉実践〜動物の幸せを考えた臨床現場に向けて〜
」の販売を開始した。この電子資料では、入院患者、外来患者それぞれの福祉を実現するために愛玩動物看護師がどのように動くべきか、何をするべきか、どのような意識を持つべきかなどに焦点を当て「動物の看護現場における福祉の実践」の指針となるような事柄を取り上げている。また、動物の専門家としての国家資格を与えられた者にはどのような責任が生じるのかを幅広く解説をしている。
前述したように、獣医療の現場には獣医師と愛玩動物看護師という二人の専門家しか存在しない。人間をサポートするその他の専門職と同じ者たちがいないという現場においては、動物の保護者である飼い主たちが抱えている様々な問題に対する支援もこの両者がすることが必要となってくる。獣医師や看護師が直接かかわることができない課題であってもどこに行けば、誰を頼れば助けてもらえるのかという情報提供をすることも動物たちのためになることである。本電子資料ではどのような情報が求められるのか、獣医科病院スタッフとして飼い主にどこまでの情報提供をする準備をしておくべきであるかなどについても整理している。
動物の飼い主たちという「家族」のサポートも愛玩動物看護師に求められることであろう。高齢の飼い主が増えている中、動物のケアや飼養管理などに対する需要がどのように変化していくかは、現代の社会問題と直結していることであると考えることもできる。愛する動物を失った悲しみを抱える飼い主への対応も決して無視することはできない。何度も言うようであるが、人間の医療現場には社会福祉士や心理職、ケアマネージャーやヘルパー等々このような様々な問題に対応する専門職がいる。しかし、獣医療の現場にはサポートスタッフは愛玩動物看護師しかいない。言うまでもなく、すべてをこなすことは到底無理な話である。しかし、医療の現場としては同じようなニーズがあることを否定することはできない。そして、それらのニーズを満たすことができぬ場合には、必ずと言って良いほど動物の福祉が何らかの形で侵害されてしまう可能性があるのである。動物の治療のみならず、各動物とその飼い主の生活をより幅広く見ながら支援をするということはどのようなことかを本電子資料を通して解説している。また、それこそが動物福祉を支えるためには必要なことであるということの理解を深めるためにも、ぜひ関係者には本電子資料を手に取ってほしい。
冒頭で述べた通り、愛玩動物看護師の大きな役割の一つが動物の福祉を守ることである限りにおいては、飼い主たちが置かれている状況に対応しなければならないことも必ずあろう。そうするためには何をしなければならないかを愛玩動物看護師を名乗る人間は考えておく必要がある。病気の治療のみならず、例えば飼い主が愛犬の問題行動で悩んでいる場合には、看護師自身がしつけのテクニックなどを持ち対応する必要はなくとも、どのような専門家を紹介するべきかを知っておく必要がある。さらには、どのような専門家を紹介するかによって、その犬の福祉が左右されてしまうことも知っておかなければならない。瀕死の状態にある動物の安楽死を考える際に、飼い主にはどのような支援が必要であるか、またそれを愛玩動物看護師としてどのように捉えるべきかということも、重要な課題の一つであろう。
動物の代弁者となるために
以前「飼い主のケアは獣医師の仕事であるか?」という疑問を口にされた獣医師がいた。この獣医師がどのような考えを持っていたかは知る由もないが、はっきり言えることは一つ、飼い主のケアは、愛玩動物看護師にとっては重要な仕事であることに間違いないということである。それと同時に、飼い主の要望と動物の福祉が合致しない場合には、愛玩動物看護師ができる限り動物を守る側に回らなければならないということも言える。動物の代弁者としての役目を果たしながら、飼い主の気持ちもないがしろにしないようにすることは難しいかもしれぬが、愛玩動物看護師としての仕事の醍醐味もこのあたりにあるのではと考えている。人も動物もハッピーにできる、両者を満足させることができる可能性を秘めた仕事なのである。その実践とはどのようなことなのか、それを提言するために上記の電子資料を執筆したと言っても決して過言ではない。より質の高い動物看護を目指すための道しるべとして活用していただければ幸いである。
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